1. Power Automate Desktop × 生成AI とは?
Power Automate Desktop(以下、PAD)は、マウス操作やキーボード入力を記録して再現する「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」ツールです。
WordやExcel、ブラウザ操作、社内システム入力まで、手作業を自動で行えます。
そして今、そのPADに**生成AI(Generative AI)**を組み合わせることで、
これまでの「ルールベースの自動化」から、「判断・文章作成・解析まで自動で行う」次世代の自動化が可能になっています。
例:
- 受信メールをAIが読み取り、最適な返信文を自動生成
- スキャンされた請求書をAIが理解して仕訳登録
- お問い合わせ内容をAIが判断して担当部署へ転送
このように、AI × RPA = “考える自動化” が実現するのです。
2. 生成AIを組み合わせると何が変わるのか
Power Automate Desktop単体でも「操作の自動化」は可能です。
しかし、AIを加えることで“非定型業務”にも対応できるようになります。
| 従来のPAD | 生成AI連携後 |
|---|---|
| 決められた手順を自動化 | 内容を理解して柔軟に判断 |
| 定型データ入力 | 自然文の解析・分類 |
| 固定ルールで返信 | 文脈を理解した自然な文章生成 |
| 画像やPDFは非対応 | AIが読み取り・抽出・分類まで処理 |
🔍 特に「AI Builder」や「Azure OpenAI Service」との連携で、
Power Automateの世界が“ノーコードAIプラットフォーム”に進化します。
3. 実践構成:Power Automate Desktop+AI連携の基本設計
AI連携を実現する3つの主要手段を理解しましょう。
| 手法 | 概要 | 特徴 |
|---|---|---|
| AI Builder | Microsoft純正のAI機能。請求書読取・感情分析などの定型モデル | ノーコードで扱いやすい |
| Azure OpenAI Service | ChatGPTなどのLLMをPower Automateから呼び出す | 自然言語処理に最適 |
| HTTPコネクタ | API呼び出しで外部AI(ChatGPT, Claudeなど)を連携 | 柔軟だが技術理解が必要 |
✅ 初心者にはAI Builder、
中上級者にはAzure OpenAIコネクタがおすすめです。
4. シナリオ①:ChatGPTと連携した「メール自動返信」
💡 概要
Outlookに届いたメール内容をAIが理解し、
ChatGPTに返信文を生成させ、自動で送信します。
🧩 フロー概要
- Outlook トリガー:「新しいメールを受信したとき」
- AIアクション:「HTTP – ChatGPT APIを呼び出す」
- 入力例:
あなたはカスタマーサポート担当です。 次のメール内容に対して、丁寧な返信文を日本語で作成してください。 メール内容: {{本文}} - 出力を「メール送信」アクションに渡して返信
🧠 ポイント
- トーン(丁寧/カジュアル)を指示できる
- ChatGPT APIの温度パラメータで文章の柔らかさを調整
- テスト環境で必ず返信先の確認をする
5. シナリオ②:AI Builderで請求書データを読み取り→自動仕訳
📄 フロー構成
- トリガー:「OneDriveに請求書PDFがアップロードされたとき」
- AI Builder:「請求書を処理する」アクションを使用
- 出力フィールド例:
- ベンダー名
- 請求日
- 請求金額
- 支払期日
- ExcelまたはSharePointリストに自動登録
💡 Microsoft 365環境だけで完結でき、経理部門で即実用レベル。
6. シナリオ③:AIが問い合わせ内容を理解して自動振り分け
⚙️ フロー概要
- Outlookで問い合わせメール受信
- AI Builder「テキスト分類モデル」を利用
- カテゴリ:営業/サポート/請求など
- 分類結果に応じてTeamsまたは担当者メールへ転送
📊 AIモデルはExcelデータを元に自分で学習可能。
数十件の問い合わせ履歴からでも精度の高い分類が実現します。
7. シナリオ④:WordやExcel文書のAI要約・自動レポート化
🔍 フロー例
- TeamsやSharePointにレポート(Word/Excel)をアップロード
- Power AutomateでAzure OpenAI APIを呼び出し
- 「内容を100文字で要約」プロンプトを実行
- 結果をTeamsに投稿 or OneNoteに保存
週次報告書や議事録の要約にも応用可能。
“読む作業”をAIに任せることで、担当者の分析時間を確保できます。
8. Power Automate DesktopでAIを動かす技術的ポイント
Power Automate Desktopは「Windows操作を自動化するツール」ですが、
クラウドAIと連携するには次の3つの方法があります。
| 方法 | 説明 |
|---|---|
| ① Web API呼び出し | PADの「HTTPリクエスト」アクションでChatGPTなどを利用 |
| ② クラウドフロー呼び出し | PADからPower Automateクラウドフローを呼ぶ(AI処理をクラウド側で実行) |
| ③ ローカルAI連携 | Edgeブラウザ経由でAzure AI Studioなどと連携 |
💡 おすすめ構成:
PADでデータ収集 → クラウドフローでAI処理 → PADへ結果返却。
この構成が最も安定し、業務RPAとの組み合わせに適しています。
9. 実運用で注意すべきライセンス・セキュリティ
- AI Builderは有料アドオン(AI Builderクレジット)
- ChatGPT連携はAzure OpenAI Serviceまたは外部APIキーが必要
- 業務データを扱う場合は**情報漏えい対策(ログ制御・暗号化)**が必須
Microsoft 365 Business Premium以上を推奨。
社内ルールに沿って「AI利用ポリシー」を明確化しておきましょう。
10. CopilotとAI Builderの違い・使い分け
| 機能 | AI Builder | Copilot |
|---|---|---|
| 目的 | 業務フロー内でAIを使う | フロー作成をAIが支援 |
| 処理内容 | 感情分析・請求書読取・分類など | フロー自動生成・修正提案 |
| 利用場面 | 実行フェーズ | 開発フェーズ |
⚙️ 併用することで「AIが作ってAIが動かす」究極の自動化が実現。
11. よくある失敗と回避策
| 失敗例 | 原因 | 回避策 |
|---|---|---|
| AIが誤分類する | 学習データが少ない | 50件以上の多様な例文で再学習 |
| フローが途中停止 | 条件分岐が曖昧 | 例外処理(try-catch)を追加 |
| API呼び出し失敗 | 認証トークン切れ | Power Automateの接続再認証を定期実施 |
| AIが変な文章を返す | プロンプトが曖昧 | 役割と目的を明確に指示(プロンプト設計) |
12. 今後のAI連携トレンドと将来像
- Copilot Studio による“自律型AIフロー”の登場
- AIが自分でフローを作成・改善する時代へ
- Power Automate + GPT + Teams の三位一体構成が主流に
- 生成AIがExcelやSharePointと直接対話する「業務エージェント化」が進行中
💬 2026年には「RPAを操作するAI」が一般化し、
クリックやルール設定すら不要になると予想されています。
13. よくある質問(FAQ)
Q1. Power Automate DesktopだけでAIは動かせますか?
A1. PAD単体では生成AI機能は持ちません。クラウド側のAI BuilderやOpenAI APIを併用する必要があります。
Q2. ChatGPT連携にはプログラミングが必要ですか?
A2. いいえ。HTTPアクションでAPIキーを設定するだけで利用可能です。ノーコードで設定できます。
Q3. 社内システムとの連携は難しい?
A3. Power Automate Desktopで操作を自動化できるため、APIがないシステムでもボタンクリックや入力を代行可能です。
Q4. AIの誤判定が怖いです。人の確認を入れられますか?
A4. 承認フローを挟むことで「AIが提案→人が最終承認→実行」という構成も可能です。
