PCを入れ替えたり、ソフトウェアやサービスがアップデートされると、Power Automate Desktop(以下PAD)のフローが正常に動作しなくなる可能性があります。これらの問題は、主に環境の変化による互換性の問題から発生します。このセクションでは、互換性の注意点をより詳しく解説し、問題への対応策を示します。
目次
1. Windows OSのバージョン変更による影響
現象とリスク
- Windows 10からWindows 11など、OSバージョンを変更すると、UI要素の構造や動作仕様が変化する場合があります。
- 特定のフォルダ構造やレジストリの位置が異なる場合、フローが動作しないことがあります。
具体例
- 「ウィンドウをアクティブ化」アクションで、ウィンドウの識別に使用するプロパティ(例:ウィンドウタイトル)が変更されている。
- 標準フォルダ(例:
C:\Users\Public\)の位置やアクセス権が変更され、ファイルアクセスが失敗する。
対応策
- UI要素の再構成
- PADの「UI要素を編集」機能を使い、新しい環境の要素に合わせて設定を更新します。
- フォルダパスの確認と修正
- 影響を受けたアクション内のファイルパスを手動で修正します。
- 必要なら「環境変数」(例:
%USERPROFILE%)を使用してパスを動的に指定します。
2. ローカルリソースからクラウドリソースへの移行
現象とリスク
- クラウドサービス(OneDriveやSharePointなど)への移行で、ファイルパスがローカルパスからURL形式に変更されます。
- クラウド環境では、ファイル操作が即時に反映されない場合があり、タイミングの問題が発生する可能性があります。
具体例
- 旧PC:
C:\Users\OldUser\Documents\example.xlsx - 新PC(OneDrive経由):
https://tenant-my.sharepoint.com/personal/.../example.xlsx
対応策
- ファイルパスを動的に指定
- OneDriveのローカル同期フォルダを利用し、従来通りのローカルパスでファイルを操作する。
- または、クラウドパスを直接指定し、接続設定を構築する。
- 実行タイミングを調整
- 「遅延」アクションを挿入して、クラウドリソースの更新が完了するまで待機する。
3. Office製品のバージョン変更による影響
現象とリスク
- スタンドアロン型Excelから365 Excelへの移行では、保存形式や操作手順が変更されるため、既存フローが正常に動作しないことがあります。
- 365 Excelではファイルが常にクラウド保存され、自動保存が有効になっているため、フローの期待するタイミングでの操作が行われないことがあります。
具体例
- スタンドアロン型Excelで利用していた「Excelを起動」アクションが、365 Excelではファイルパスの指定方法が異なるためエラーになる。
- 自動保存のため、ファイルが意図せず上書きされる。
対応策
- ファイルパスの設定変更
- 365 ExcelのクラウドURL形式でファイルを指定するか、ローカル同期フォルダのパスを使用する。
- Excelアクションの見直し
- 「自動保存を無効化」アクションを追加し、手動保存のタイミングをフローで制御する。
- Excelファイル操作を明確に順序付ける(例: 開く→操作→保存→閉じる)。
4. アプリケーションやサービスのUI変更
現象とリスク
- アプリケーションのアップデートでUIが変更され、PADの「UI要素を操作」アクションが失敗する場合があります。
- 特に、ボタンやリンクの位置・名称が変わると、クリック操作が無効になることがあります。
具体例
- 旧バージョン:
ボタンAをクリック → 新バージョン:ボタンAがボタンBに変更されている。
対応策
- UI要素を再キャプチャ
- PADで該当アクションのUI要素を再キャプチャし、新しい要素に合わせて設定を更新します。
- 例外処理の設定
- アクション失敗時の代替処理を設定(例: エラーメッセージ表示後にリトライ)。
5. ネットワークや接続の変更
現象とリスク
- 新しいネットワーク環境では、SharePointやAPI接続が失敗することがあります。
- 外部接続先の認証情報やURLが変更されるケースも多いです。
具体例
- SharePoint接続が、移行後に「URLが見つからない」とエラーを返す。
- APIの認証トークンが無効化される。
対応策
- 接続情報の更新
- PADの「接続設定」メニューで、新しいURLや認証情報を入力。
- 必要に応じて、新しい接続を作成し、フロー内で参照する接続を切り替える。
- 接続テスト
- フロー実行前に接続テストを行い、問題箇所を特定する。
6. タイムゾーンや地域設定の変更
現象とリスク
- 新PCのタイムゾーンや地域設定が異なると、日時関連のアクションで期待する結果が得られない場合があります。
具体例
- 日付のフォーマットが「MM/DD/YYYY」から「YYYY-MM-DD」に変わる。
対応策
- 日付・時刻のフォーマット設定
- フロー内で日付を操作する際、地域設定に依存しないフォーマット(例: ISO 8601形式)を使用する。
- タイムゾーン変換
- 必要なら「タイムゾーンを変換」アクションを使用して日時を調整します。
